先日、今年のノーベル経済学賞受賞者が発表され、
行動経済学を専門とするリチャード・セイラー氏が
受賞となりました。

行動経済学者としては、2002年のダニエル・カーネマン、
2013年のロバート・シラーに次ぐ3人目の受賞ということに
なります。

行動経済学というと、”経済学”というフレーズが入っているだけで
『難しそう』『数学が苦手な人には理解が難しい分野』など
とにかく複雑で難解な印象があります。

”経済学”といってもどちらかと言うと心理学的な要素が多分に含まれ、
「人の意思決定は利益を合理的に最大化させて行われる」
という標準的な経済学の考え方に対し、
「人の決定は必ずしも合理的ではなく不合理な場合も多い」というような
考えを持って人間の意思決定を解明していく大変面白い内容です。

例えば、
「10万円を得られるかもしれない」
という期待する心理より
「10万円を損したくない」
という損失を回避しようとする心理のほうがより強くはたらく とか

「三年後にもらえる3万円」より「今すぐもらえる一万円」の方を
欲しがる、人間の未来の利益より目先の利益を優先させる傾向など

様々な研究・実験事例を元に解説される内容は、
どちらかと言うと社会心理学に近いと感じられます。

『影響力の武器』という有名な書籍がありますが
あの本を抵抗無く読み進められる人には興味深い分野だと
思います。

今回受賞したリチャード・セイラー氏は「ナッジ(nudge)」という
概念を提唱した人です。ナッジとは「注意や合図のために人の横腹を
ひじで軽く押したり、軽く突いたりすること」という意味があります。

具体例を出すと、
アメリカの給食ではカフェテリア形式(バイキング形式)
の場合が多いそうなのですが、その料理の配列によって
生徒が健康的な食品を食べる量を増やすことが出来る、
つまり、選択肢の提示方法により生徒達が食べる料理の選択に
影響を与える事ができる。

アムステルダム・スキポール空港の男性用トイレでは、
小便器まわりの深刻な汚れ(男性の小便の散らかし)を
解決するために、小便器に黒いハエの絵を書いたところ、
小便飛沫の汚れが80%も解消した。
(男性はなぜかハエの絵を見ると狙いたくなる)

これらはナッジの一例ですが、
ナッジは人々をより良い生活が送れる方向に進む為に
「軽くひじで突く」かのように誘導することです。

ナッジを理解し、正しく使いこなすことが出来れば、
政治や教育あるいはビジネスなど広い分野の発展に
貢献することが出来ます。

特にビジネスの分野においてはこれから必須になっていくでしょう。

ビジネス、マーケティング、営業に携わる人、
あるいはこれから学びたいと思っている人は
彼の本も一読してみることをお勧めします。