こんにちは武田です。

 

先日書いた記事の中でも少し触れましたが、
日本のサービス業って非常にレベルが高いです。

 

その要因の一つに考えられるのは
「顧客満足度第一主義」
お客様の満足を第一に考え常に最高のサービスを目指す
いわゆる”CS”(customer satisfaction)重視の方針を
多くの企業が掲げてきたからでしょう。

 

お客様の意見を尊重し
新しいサービスの提案・改善を繰り返し、
日本のサービス業系企業は過剰言える程の
サービスを市場に提供し続けてきました。

 

過剰サービスを代表する最たる例が、
飲食業・小売業を中心に広がる”24時間営業”など
長時間営業でしょう。

 

夜間に活動する人たちに満足してもらうために
起業が夜間にサービスを提供するものです。

 

コンビニが登場した頃にCMでよく聞いた
「開いててよかった♪」
ってやつです。

 

この長時間営業の先駆けは言うまでもなく
コンビニ業界なのですが、
少人数・省スペースで回せるコンビニと違って
飲食店などは若者の車離れと共に深夜来店客は減少傾向にあり、
最近は不採算による撤退の傾向にあります。

 

このCSという考え方は1980年代にアメリカで生まれ、
”多少生産性や効率を犠牲にしてでも顧客満足度を上げたほうが
リピーターなどの効果があって良い結果につながる”
と言うものです。

 

CSを重要視することはサービス業を営む上で
当然の考え方で有ることは言うまでも有りません。
”企業の利益が第一”の会社のサービスなんて
いいサービスの訳無いですからね。

 

ですが、日本の多くの企業は生産性や効率以外に
非常に大切なものを犠牲にしています。

 

それは
”ES”(Employee Satisfaction)、
即ち”従業員満足度”です。

 

”現場で働く従業員・社員の満足度が低ければ
現場のモチベーションが下がり、業績にも影響される
よって、従業員の満足度を高めることが重要である”
という考え方。

 

給料やボーナスなどの報酬だけが手段ではなく、
理念の共有、やりがい経営者の魅力、労働環境なども
ES向上の手段になります。

 

このESを無視してCS向上をただひたすら追及し
社員をこき使うような”ブラック”企業が
多く存在しているのが現状です。

 

「しーえす しーえす」と連呼して時間無制限に
社員をこき使うだけで業績が上がると思っている
残念な経営者がこの国には腐るほど存在するのが現状なのです。

 

今回ヤマト運輸が発表した荷物の制限や運賃値上げも、
CSばかりに目が行き過ぎてESに対するケアが
足りなかった状態に(遅ればせながら)気付いた
経営陣の英断だったと思います。

 

市場で高い評価を受けている企業は
当然ですがそれぞれ企業理念を掲げています。
そしてそこにはESの要素が含まれます。

 

タイレノール事件後の適切な対応がお手本とされる
ジョンソン・エンド・ジョンソンも
企業理念”我が信条”(Our Credo)において
企業の責任の第一に顧客、第二に全社員(従業員)
と位置づけています。

 

2010年1月の会社更生法適用から日本航空(JAL)は
僅か2年足らずで黒字化を達成。奇跡的なV字回復を
成し遂げたことで有名です。

 

そのJALの現在の企業理念は

JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、
一、お客さまに最高のサービスを提供します。
一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。

大前提に「全社員の物心両面の幸福を追求」があります。
まさにESですね。

 

この企業理念をJALに持ち込んだのが、
今や世界的企業に成長した京セラの創業者であり
JALの再建を指揮した稲盛和夫さんです。

 

稲森さん自らが創業者である京セラ、KDDI、そして上記のJAL。
この三社企業理念はすべてこの書き出しで始まります。

 

逆に、市場から見放されていく企業は
CS一辺倒でお世辞にも従業員を大切にする姿勢は
見受けられません。そんな考えすら無いのでしょう。

 

企業理念だけで企業の市場価値を判断するのは
拙速かもしれませんが、
ESを忘れた、或いは無視する企業は
過剰なCSへの注力によるしわ寄せが従業員にいき、
モチベーション低下が招く業績不振の負の連鎖に飲み込まれ
やがて競争力を失い、市場から抹殺されていくのです。

 

そうならない為にも
従業員・社員は大切にしなければなりません。

 

もちろんES一辺倒で”締まり”のない企業では駄目ですが
経営者は従業員を家族とまではいかなくとも
一族として守っていく気概が必要でしょう。

 

そして、ES向上を掲げつつCS向上を追及することが
理想形です。

 

人手不足が叫ばれる昨今、
経営者が本気でESを見直す良い機会ではないでしょうか。