変態に投じられた2つの効果でパンチラされる

私がまだ新車販売の新米セールスマンとして
先輩に同行していたときのことです。

その先輩Yは私より一回りも年上でしたが、(Yは当時32歳位)
バツイチ彼女なしで、悪臭に包まれる営業車の後部座席には
いつもエロ本が散乱、口臭が真夏のドブの臭いがして、
髪型はいつもボサボサのぐしゃぐしゃ、
同性から見てもとても気持ち悪い男でした。

そんなキモい先輩との同行でも、新米セールスマンである
私に拒絶する権利などあるはずもなく、その日もじっと黙って
助手席に座っていました。

いつものように先輩Yは風俗通いでのエピソードなど聞きたくもない話を
自慢げに、そして幸せそうに私に話していました。

「この間、○○って店の女が・・・(どうちゃらこうちゃら)」
「しつこく電話がかかってきて・・・(どうのこうの)」

そのころ覚えた半分聞き流すスキルを活かしながら
移り行く窓の外を景色を眺めていたら、

「おい!グローブボックス(助手席についている小さい収納庫)は
 絶対に開けるなよ!」

と先輩Y。

「開けるなよ!」

と言いながらもチラチラと
ニヤけながら私の顔を伺っています。

そして、さらに

「開けるなよ!」

と再度の警告。

 

『・・・・・・・・・これは開けろってことか??』

・・・空気を読んで私がグローブボックスの扉を開けると
そこには、ピンク色で”もこもこ”した布地の物体が押し込まれていました。

先輩Y「お”ーーい!開けるなっていっただろー!(ニヤニヤ)」

私  「なっ・・・・なんすか?・・・・・これ?」

先輩Y「それねぇ・・・・(笑)」

その物体は昨日の相手が履いていた下着であると言うことを
嬉しそうに私に説明しています。

先輩Y「だから、開けるなっていったのにぃーーー!」

私  「・・・・・・・・・」

この変態くんは、不幸にも昨晩相手をさせられることになった
女性の目を盗んでこの下着を拝借してきたらしい・・。
(立派な窃盗行為なんじゃ?)

『嗚呼・・彼の言うことを無視して開けなければよかった・・・』

変態中年男と車内という窒息しそうな密室に二人だけ・・・という
拷問に耐えていたあの頃の自分忍耐力に驚きを感じます。

 

「開けるな!」とか「のぞくな」とか「絶対言うな」
とか言われると人はそれをしてみたくなります。

これを俗に「カリギュラ効果」と呼ぶそうです。

昔、アメリカで「カリギュラ」というローマ帝国の皇帝を
描いた映画が公開されたのですが、あまりに過激な内容だった為
ボストン市などで、「この映画を見てはいけません」
と公開禁止にしたところ、かえって世間の興味をひいてしまい
ボストン市民はよその街まで出かけていってまで見に行った。
ということでそう名付けられたようです。

幼少期に私達が見聞きした
「浦島太郎」「鶴の恩返し」「雪女」などの
むかしばなしにもカリギュラ効果は
物語のエンディングに採用されています。

「玉手箱は開けてはいけません」と言われたけれど、
浦島太郎は開けてしまい、
「ふすまの向こうを覗いてはいけません」と言われたけれど、
老夫婦はふすまの向こうを覗いてしまいます。

「(雪女のことを)絶対に話してはいけない」と言われたけれど、
巳之吉はお雪にそのことを話してしまいます。

先輩Yが理解した上で使っていたとても思えませんが、
「開けるなよ!」という先輩Yの言葉にも、
カリギュラ効果があったのかもしれません。

先輩Yの「開けるなよ!」にはカリギュラ効果とは別に、
もう一つの効果があったと思います。

『・・・・・・・・・これは開けろってことか??』
と私が感じた”お約束の効果”(私が勝手にそう呼んでいる)です。

「”開けるな”ってことは”開けろ”ってことですよね!」という
まったく論理的では無いけれど、皆が感じ、納得する理論です。

熱湯コマーシャルで、ダチョウ倶楽部の上島竜兵が
「押すなよ! 押すなよ!」って言うのがそうですね。
(毎回おんなじ流れなんですが、何故か笑ってしまう あれデス。)

ちなみに、「押すなよ!押すなよ!」って言ってるうちは”準備中”で、
「絶対に押すなよ!」って言ったら”準備OK!”なんだとか(笑)

あれって、最後は上島竜兵が必ず熱湯風呂に落とされます。
というか落ちますw

「絶対に押すなよ!」って言っても、結局”絶対押される”というのが
”お約束”となっています。

”お約束”になっているからこそ視聴者の期待値が高まり、
そしてその期待通りに後ろから押されて湯船に落下、
熱湯の中でもだえ苦しむいつもの上島の姿を見て視聴者は大爆笑・・・
これが”お約束の効果”です。

かくして先輩Yの再三に渡る「開けるなよ!」の
”お約束の効果”によって、湯船に落ちる上島竜兵のごとく
私はパンドラの箱ともいえるそのグローブボックスを
開けてしまったのでした。

・・と、先輩・・いや変態Yによって図らずも投じられた
”カリギュラ効果”と”お約束の効果”によって見たくもない
パンチラを見させられる羽目になったのです。

その後、数年間一緒の職場で共に働きましたが、
そんな変態がお客商売の営業職でやっていけるはずもなく、
変態Yはその後会社を辞めていったのでした。

今どこで何をしているかは、知るすべもありませんが
変態行為で犯罪を犯していないことを祈るばかりです。

 

 

    

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